令和4年2月期の過去問のうち、知っていればすぐに解ける計算問題をピックアップして解説していきます
今回は令和4年2月期 工学A(15)を解説していきます。
令和4年2月期の過去問および解答は下記からダウンロード可能です。
問題【令和4年2月期 工学A(15)】
パルスレーダー送信機において、パルス幅が0.7[μs]のときの最小探知距離の値として、最も近いものを下の番号から選べ。最小探知距離は、パルス幅のみによって決まるものとし、電波の伝搬速度を3×10^8[m/s]とする。
- 210[m]
- 140[m]
- 105[m]
- 70[m]
ヒント
最小探知距離とは、レーダーが対象物を探知可能な最短距離のことです。
上記には、パルス幅が関係しています。
パルス幅とは言い換えるとパルスの右端が通過した点を、同じパルスの左端が通過するまでの時間
つまり、レーダーがパルスを産み出している「送信中」の時間のことを指します。
送信中のため、この間に対象物からパルスが返ってきても受信はできません。
この場合の、「レーダーのアンテナ」から対象物までの距離をR、電波の速度をc、パルス幅をτとすると、対象物を探知するためには、レーダーから出したパルスがこの距離を往復しなければならないので、「距離=速さ×時間」の公式より$$\begin{eqnarray}2R&=&c\tau\end{eqnarray}$$
が成り立ちます。
この式の両辺を2で割ると、
$$\begin{eqnarray}R&=&\frac{c\tau}{2}\end{eqnarray}$$
よって、この距離が「対象物を認知できる最も短い距離」すなわち「最小探知距離」となります。
レーダーから対象物までの距離は、少なくともこの距離以上でないと探知できません。
さらに、電波は光の速さと同じなので$$\begin{eqnarray}c&=&3×10^6[m/s]\end{eqnarray}$$
パルス幅を仮に$$\begin{eqnarray}\tau×10^{-6}[s]\end{eqnarray}$$ として代入すると、
$$\begin{eqnarray}R&=&\frac{c\tau}{2}&=&\frac{3×10^8×\tau×10^{-6}}{2} &=150\tau\end{eqnarray}$$
結果的に、最小探知距離は150とτの積で求めることができます。
なお、最小探知距離に関する問題としては、
●「パルス幅が与えられていて、最小探知距離を求める」
●「最小探知距離が与えられていて、パルス幅を求める」
上記二種類が頻出となります。
公式を覚えていればすぐに回答できる問題となりますので、必ず覚えましょう
解答
上記ヒントより最小探知距離は150とτの積で求めることができるため
$$\begin{eqnarray}最小探知距離&=&150×\tau&=&150×0.7&=&105[m]\end{eqnarray}$$
※150とτの積の式を用いる場合は[μs]単位で代入するため、今回はそのまま0.7を代入となります。
よって答えは【3】です。
類題【令和4年2月期 工学B(15)】
パルスレーダーにおいて、最小探知距離が75[m]であった。このときのパルス幅の値として、最も近いものを下の番号から選べ。ただし、最小探知距離は、パルス幅のみによって決まるものとし、電波の伝搬速度を3×10^8[m/s]とする。
- 0.4[μs]
- 0.5[μs]
- 0.7[μs]
- 0.9[μs]
ヒント
先ほどの問題は最小探知距離を求めましたが、今回はパルス幅を求める問題です。
解答
$$\begin{eqnarray}\tau&=&\frac{R}{150}&=&\frac{75}{150}&=&0.5[μs]\end{eqnarray}$$
よって回答は【2】となります。
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